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Uberが自動運転車で未来にやろうとしている事を、自転車で今実現した中国の新ビジネス【mobike 摩拜单车】

中国と言えば濁流のように街を流れてゆく自転車の大群を思い浮かべる方も多いのではないだろうか。ほんの一昔前にあったこの光景は今は車やバイクに取って代わられ大気汚染を引き起こし、その澱んだ空気が日本にも流れ込んでPM2.5問題を引き起こしている。自転車大国だった中国は今や自動車大国となっているのだ。

自動車大国となった中国では、自動運転車の開発には続々とIT企業などが参入し開発が急ピッチで進んでいるが、この分野での世界の覇権を狙うと同時に、運転の最適化による資源の節約と環境負荷の低減といった目的も存在していると思われる。

また、Uber的な商売は中国では一般的で、最近は筆者もタクシーにほとんど乗らずこういったサービスを利用している。日本と違ってこの手のサービスが一般的になったのは、タクシーの既得権よりも環境負荷の低減のほうが優先されたためだろう。こちらも中国における自動運転研究の方向性と同じで、皆が皆、車を持ち始めたら、この国は一体どうなるという大きな危機感があるのに違いない。

中国にとっては、自動運転車もUberカーシェアリングサービスも、危機を克服するために必要不可欠だと思われているのだろうし、将来はこの両者が結合してより進んだサービスが提供されることを中国の人々はしっかりと見通しているのだ。車のエンジンハードを改善して数パーセントの燃費向上に資源を注ぐよりも、はるかに大きなインパクトを与えそうなソフトウェアに重心を置いている。

カーシェアリングサービスが最終的に目指しているのは、車を皆が所有するのではなく最低の台数をシェアして現在または将来の移動需要を満たすことだろう。交通の最適化ができれば、余計な車が道を走ることもなく、渋滞も引き起こされない。そのためには人間を超えた管理が必要だろうしドライバーが居なければより安く便利にこのサービスを提供することができる。安くて便利なら自家用車よりこちらを選択する人が主流になるだろうから、これなら環境負荷を大きく低減可能だろう。

自動車というハード自体をユーザーは買わなくなり移動のみを購入するようになるから、ハードの提供は現状のように一般車を利用するのではなく、Uberのような会社自身が、デポジットを利用者から徴収して提供することになるのに違いない。この場合、日本が得意とするエンジンの燃費よりも、利用予測や最適ルートの選択などのソフトウェアが重要になる。自動車産業の在り方を劇的に変えるインパクトが今後5年程度で訪れる。

どんな車が提供されるかと言えば、長期連載が終了するジャンプのこち亀に乗り捨てタクシーなるアイディアが披露されていたが、あんな感じになるのだとおもう。つまり他人が居ない状態で乗り捨てができるシェアされた車だ。漫画では自分で運転するようになっていたが、実現するものは自動運転車になるだろう。

さて、こち亀の乗り捨てタクシーの話、無人の自動車では2016年現在自動運転の技術が確立していないので難しいが、無人の自転車ならどうだろうか。自転車に乗り適当なところで乗り捨ててる。その自転車を他の誰かが乗りまたそれを乗り捨てる。料金は何らかの方法で回収するという新ビジネス。これなら技術的な問題はなさそうだ。このビジネス実行しようとしても、日本なら放置自転車として行政に回収されてしまうのに違いない。しかし、中国は違うようだ。

中国の街中をよく見れば、歩道の半分が駐輪場になっていたり、自転車専用道があったりと自転車大国だったときの名残があちらこちらに残されていて自転車に対して非常に寛容な政策が取られていることがわかる。今では自転車より数が多いバイクがこれらの施設を利用しているが、もちろん自転車でも利用可能だ。

最近、上海の街を歩いていると銀色フレームにオレンジ色の車輪の自転車をよく見かける。それらの自転車は歩道に放置されていたり、自転車置き場に置いてあったり、或いは人が乗っていたりするが、すべて同じものだ。車体にはQRコードあり、サドルに「用車1元」と書いてある。

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これぞまさしく乗り捨てタクシーならぬ乗り捨て自転車! Uberが自動運転でやろうとしていることは、現在の技術だと「自動車」なら難しいけど「自転車」なら今すぐにできるわけだ。自動運転も要らないし。しかも都市部なら2~3km移動したい時も多いから自転車で十分だし、環境負荷も低い。

ビジネスの仕組みはこんな感じ。自転車版Uberみたいなアプリで料金決済や自転車のロックの解除(QRコードを読み込んで開く)、自転車がある場所の検索が行える。専用自転車にはGPSや携帯が搭載されていて、中央サーバに位置情報や課金情報を送信している(たぶん)。客は必要なときに使って、自転車をロックした上で歩道なんかに乗り捨てる。GPS搭載とはいえ、行方不明になる自転車も多そうだけど、そういったロスを考慮に入れても利益が出ると判断したのだろう。

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やっているのは「北京摩拜科技有限公司」という会社。商標はmobike。社長は元Uberの人間だ。どうりでUberが未来にやろうとしていることを今できたわけだ。

http://mobike.com/

かつては自転車王国と言われたこの中国で、この自転車を使ったニュービジネスは根付くのだろうか。こういったものが成功すれば確かに中国の環境は若干にしろ良くなると思うのだが。

中国人は留学に向けたTOEFL試験攻略に孫子の兵法を最大限に使う

TOEFLという英語の試験(留学用)があって、ものすごい数の中国人が受験しているらしく、中国国内のどこの試験会場も予約でいっぱいで大盛況らしい。

筆者はTOEFLの試験そのものには全く興味が無い。ただ、知り合いの中国人がTOEFLがどうのこうのと言って専用ソフトを使っているのを見て「中国人のTOEFL試験対策」には少し興味を持ったので調べてみた。

TOEFLの平均点数がアジアでも下位だから日本人の英語力も低いと言われている。実際、日本70点に対して中国は79点。それぞれの国の英語に自信がある人が受けているのだろうから、確かに結構差をつけられているようだ。

さて、このデータが意味するところは、点数どおり日本人より中国人の英語力が優れているということだろうか? それは分からない。ただ、知り合いを見る限り中国人が日本人と異なる戦略と戦術を以てこの試験に取り組んでいることがわかった。

まず、TOEFLという試験は受験料が高いという特徴がある。一回受けるだけで230ドル=23000円もする。10回受験すれば23万! 次に問題を公開しないという特徴がある。これでは過去問を解くという試験の王道的戦術が難しい。

つまり、この試験は数をこなして慣れることが非常に難しい試験であるようだ。大金を払わないと、孫子の兵法「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」を実践できないような作りになっている。 だから、多くの日本人は予備校が作った想定問題とかで練習を重ねることになる。

さらに、この試験の特徴として点数にカウントされないダミー問題というものが出題されるようだ。過去問と同じならばそれがダミーだとある程度見分けることができるらしいので、予備校の想定問題より実際の過去問をやったほうが遥かに有利だ。逆に、有利になるから過去問を公開しないとかいろいろと制限があるのだと思う。

しかし、さすが孫子の国の中国。敵の調査には余念がないようだ。受ける人間が桁違いだから、ネット上でも様々な攻略法が飛び交っていてそれがシェアされ徹底的に研究されている。規則第一の日本ではこの方法は難しいだろう。このテストの場合、確か問題を他人に教えてはいけないという話もあったかと思う。

その情報共有の集大成とも言えるのが、知り合いの中国人がやっていた「中国TPO」といわれる攻略ソフトで、何十回分の過去問が組み込まれ、本番と同じ環境で受験できるので正に敵を知る最高の手段だろう。この秘密兵器の有無で、試験攻略の時間に大きな差が付きそうだ。

そんな便利なものが、何でもアリのいつものタオバオで100元(1500円)くらいで売られていたり、中国のTOEFL攻略サイトで無料で配られていたりするから、中国のTOEFL受験生には100%普及している。

中国人の点数が日本人より高いのは、このような教材が格安或いは無料で手に入るといった点も大きいのではないだろうか。つまり戦略としては知的所有権や契約を無視。その戦略から導き出された戦術としては過去問情報のシェアや本番と同等の環境でのトレーニングだ。

アメリカあたりに留学するならライバルは中国人の可能性が大きいのだから、相手の手の内をしっかりと調べないと勝てないということなのだと思う。もしかすると、それもテスト出題者の隠された意図なのかもしれない。

Listbrowserでネットを見る限り、中国TPOそのものは、日本でも一部には「中国問題」などとして知られているようだ。

ちなみに、中国語でTOEFLは「托福」。日本で有名なTOEICについては、中国では全く知名度がないようで、知り合いもそんなテストは知らないと言っていた。

なお、筆者は受験したことはありません。念のため。

日本の病院が中国人などの外国人を受け入れる場合の治療費は200%

無保険の外国人が日本の病院で診察治療を受ける場合、いくつかのパターンがあることが分かった。

1.外国人は診察治療費が200%になる病院。 2.基本200%だが、日本語ができれば日本人の無保険者と同様の100%の病院。 3.外国人でも100%の病院。

少なくてもお金さえ払えれば外国人であるからといって拒否されることはないと思うが、その費用には大きな差があることがわかった。

200%の費用が必要な理由を病院側に聞いたところ、外国人の場合、病院側で中国語などの通訳を用意しているところもあり、そのコストがダイレクトに跳ね返っているとのこと。 また、外国人自身が通訳を用意したとしても、第三者を通して話すと時間がかかり、それだけでコストの増加要因になってしまう様だ。

また、診察治療ではなく健康診断でも同様の傾向がみられ、日本語が可能かどうかによっても価格が変動するところもある。

このような200%対応を取る病院は医療ツーリズムなどの外国人受け入れに積極的な大病院が多い。しかし、大きな病院でも、確認すると100%でやってくれるところもあるので、医療機関によってその対応はバラバラになっているようだ。

無保険の外国人を日本の病院に連れていくときは、この点をよく確認をしたほうがいいだろう。なにせ診察治療費が倍額になるのだから。

日本人の無保険者と同じで100%払えばいいと考えていると痛い目を見る場合もある。

WEBサイトを速読するためのWEBブラウザListbrowser2016リリース

SEOSEM(広告)に惑わされずに、必要な情報を検索できる無料ブラウザアプリ

リストブラウザの最新版、Listbrowser2016をリリース(2016年7月29日版)。

必要環境 Windows7 sp1 以上。

ダウンロードはこちらから。

日経BPさんのサイトに「検索結果を大量に「早見」できる検索専用ブラウザー」として紹介されていました。読むと作者の説明よりかなり出来がいいので、詳細はこちらをご覧ください。

修正点。 ・ハイライト時のクラッシュ現象の修正 ・Listbuttonの追加(タブレット用のリスト操作)。

ポケモンGO、中国版の配信はしてないが、パチモンGOならある

世間では、報道の自由を標榜していたジャーナリストへの文春砲以降、マスゾエさんの時からお茶の間の大好評コンテンツだった都知事の報道が何故か激減し、そのテレビの間隙を埋めるようにポケモンGOが凄いという話ばかりになり、任天堂が妙にニンマリするという、風が吹いたら、どこまで桶屋が儲かるんだろう‥という展開になっていたりします。

さて、そのポケモンGOですが、もちろん中国では配信していない状況です。 中国の政策として、海外で流行りのネットサービスが出てくると、まずは国内企業の類似品を育て、それが十分な競争力を持ってから、海外のオリジナルをちょっとだけ入れたり、全く許可しなかったりするわけです。

ポケモンGOはゲームというよりも、一種のプラットフォームになる可能性を秘めてますから、当然、国内企業優先になるはずです。といっても露骨にはダメとはいわずに、色々なハードルを設けて、海外ネット企業の動きを束縛するのが定石です。

例えば、中国の法律だと、地図自体、中国企業以外は提供できないはずだし、サーバも中国国内に設置する必要があるので、位置ゲーをリリースするには、中国企業との提携が必須なのではないでしょうか。

また、政府の重要施設に近づかないように確実にする必要があるだろうし、ポケモンを出現させて人を集めることができる仕様も変更を求められるかもしれない。

そんな面倒な許可やらなにやらやっているうちに月日は流れ、似通った中国製サービスにオリジナルがその座を奪われてしまうわけです。そんな理由でポケモンGOが中国で大成する可能性は低そうに思えます。

そこで、早速、パチモンGOがウォーミングアップを始めています。 その名も「城市精灵GO」 中国でポケモンGOは「口袋妖怪GO」ですから、妖怪か精霊かの違いはあるものの似ています。しかも、わざわざGOをつけて、俺がパクるぞ!と 自己主張感満々の名前に仕上がっています。

また内容も、現実の地図情報を基に、現実の場所にモンスターを捕まえに行って、それを育ててバトルするという点で同じようなものです。

このように、中国でポケモンGOが流行るためには、幾重にも乗り越えなければならないハードルがありそうです。

経産省調査 中国のIT人材は平均年収の7倍近い報酬を得ている

アメリカ、インド、インドネシアベトナム、タイ、中国、韓国、そして日本で、経産省がIT関連の人に対してアンケート調査を行っていて、その結果が公開されている。 http://www.meti.go.jp/press/2016/06/20160610002/20160610002-8.pdf

日本のIT関連職は給料が低く、やりがいも無く、人気も無いという事が他国との比較で明らかにされているが、Σプロジェクト以来の伝統のお約束という感じで日本はIT人材が不足するからヤバイ! といういつもの結論になっている。 そんなこと、各国と比較しなくてもその辺りの派遣のSEとかPGとか捕まえて聞けば分かりそうなものだが、笑点みたいな伝統芸だから、そんなことを言っても仕方がない。

ぶっちゃけ、何十年も前から同じことをやっているのは、国も大変だと言いつつもSEやPGのブラック度なら大したことはないと思っているからなのだろう。 日本には整備士や技工士みたいな、国家資格なのに書かれたコメントを読むだけで、心が寒くなってくる本当に恐ろしい業界もあるのだから。 http://honne.biz/ranking/total/worst/ それに比べりゃ、全くブラックじゃないよと。

結局どうなるかといえば海外産のソフトが入ってくるから、別にIT技術者は不足しない。 何十年も前から不足すると言っていたけど、今も普通に社会が回っているのがその証拠だ。

現在、ソフトの一番の供給源はアメリカだろうけど、今後は中国も台頭してくるだろう。 連中の給料は高いと思っていたのだけど。平均年収の7倍近いのか。そりゃヤル気がでるだろ。 あちらは世界中から投資資金が流れ込んで、IT業界がものすごい勢いで拡大しているので高給払えるし、給料が高いから優秀な奴もくるんだろうね。 怪しいところもいっぱいあるけど。

経産省の資料によれば、日本は600万程度(高給すぎて本当なのか疑わしいが)で中国は400万弱。単純に円換算すれば日本のほうが給料が高いが、そもそも、中国のIT人材の年齢は日本よりだいぶ若い。年齢を統一したうえでの日本と中国の比較だったとしたら逆転しているのではないだろうか。

怪しいものでも有望そうならドンドン投資するという文化が存在せず、現実の儲けから導き出された金額がそのまんま給料になる日本では、永遠に同じことを縮小スパイラルでやっていくんだろうなと。

IT人材が足りない 給料上げるか? 海外のソフトがあるから間に合っている。実は不足してない。 だから、給料上げないし、むしろ下げる でもIT産業に国際競争力を持たせたい(願望? 妄想?) 最初に戻る。

と、願望? あるいは省庁の予算獲得のネタとして、無限ループ中。

まずは、給料が上がらないことには。 このあたり、アベノミクスが今一つパッとしない理由と同じなのかも。エンジン全開でも空ぶかしなんじゃないかと。

中国のお金は日本の数倍の速度で動いている

爆買い現場にて‥

商品を撮影した写真を微信で中国側に送り確認し、相手がOKなら微信でお金を貰う。最後に商品を貰ったお金を使い微信で購入して終わり。

この取引の流れを見ていると、支払いサイトとかキャッシュフローとか現代経営学必須の事柄をすっ飛ばして、ものすごいスピードで人から人へお金が移動していることに気付く。

会社の経営では、モノを売ってからお金を回収するまでのタイムラグが死活問題になっていて、多くの会社は他人に支払うべきお金であっても、なるべく手元に留めておこうとする(キャッシュフロー経営)ので、お金の動きは限りなく遅くなってゆく。

日本の場合、看板方式とかモノの流れの最適化を図る方法はものすごく発展したのだけど、お金の流れはかなり微妙だ。大手企業が下請けに支払う場合に支払いサイトが120日必要になるとか、この時代にそんな具合だから、ECプラットホームもそれでいいと考えてしまっているのかもしれない。

だから、商品を売り上げても、ECプラットホームの運営会社からお金を貰うまで、一ヶ月とかそれなりの時間が必要になる。スピードが速いはずのEC会社がキャッシュフロー経営をやっているためだ。どうも、周囲のトロい奴に合わせてしまっている。護送船団方式

即座に決済を行えるはずのECプラットホームが過去の遺物をそのまま踏襲しているというのは、怠慢ではないか。

しかし、中国では違う。タオバオであれば売り先が承諾すれば売り上げとほぼ同時に商品ごとに貰える(日本の場合、一月に一度まとめてとかいうのが多い)し、微信であれば相手が微信で支払った途端に貰える。ECプラットホームがお金の流れを妨げない。

中国の企業はなかなかお金を払ってくれないという話を、昔はよく聞いたし、今でもそれは普通にあると思う。これは日本のキャッシュフロー経営より悪質かもしれない。

ただ、中国のネット企業は、周囲がどうあれ、システムパワーで可能になったことを過去に囚われず行うことによって、大きな発展を手に入れている。

ニセモノ問題やマナーが悪いという面は確かに存在していて、それらは常に報道されていてみんな知っているけど、中国では金融版カンバン方式ともいえる高速で資金を動かすプラットホームがこの数年で完成しつつあるという面も知っておく必要があるだろう。

中国を脅威とする人もチャンスとする人も、どちらの立場でも様々な面からの情報が必要で、似たような情報だけでは何の役にも立たない。