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「支付宝」問題 VIE構造への不信が中国ネットバブルを揺さぶる?

「支付宝」(アリペイ)の所有権紛争による中国のインターネット企業の「VIE(Variable Interest Entities)」構造の合法性に対する質疑はインターネット業界及び投資業界のパニックを誘発している。
現在のところまで、VIE構造の適法性、どのように監視・管理に組み入れるかについて、政府部門からの正式な応答がまだない。

 

最近、京東商城CEO劉強東はマイクロブログで、馬雲が支付宝の所有権を移転した行為は起業家に影響を与えたと非難した。
「少数の人の不信の行為により、業界全体が代価を払わなければならない。真っ先にその矢面に立つのは事業を始めたばかりの人達である。
将来の資金調達は極めて困難になる。来年の下半期が電子商取引の最も困難な時期になると思ったが、早めに来たようだ。」と語った。

また、彼の知っている中国国内すべての資金調達を行った上場と非上場を含むインターネット企業はVIE構造であり、京東商城も含まれていると劉強東が述べている。

支付宝の支配権紛争の影響は中国関連株の低迷の大きな原因であり、この紛争を適切に解決できたら、中国関連株が低迷状態から抜け出すための助けになると人人会社の会長兼CEOの陳一舟が表明した。
「支付宝の紛争は米国の投資家に、中国関連株の最も基本的な协议控制モードに対して質疑を持たせた。契約のもとで、なぜそのような紛争が起こったのかと投資家に疑惑の念を抱かせる。
したがって、中国のほとんどすべての同様パターンの会社の株価に影響を与えた」という。

インターネット企業や起業家に加えて、また大きな衝撃を受けたのは投資業界の人々である。彼らは政府がVIE構造を否定するかどうかを心配している。
中国の大手コンサルティング会社清科集団の創設者、CEO倪正東は、現在暴露しているVIE問題は外資が中国インターネットにおける投資を危険極まる状況にさせると考えている。
それと同時に、心配とパニックの広がりに伴い、VCとファンドが中国のインターネット企業に対する投資も大幅に影響されている。

これらのVIE問題に対するパニックの原因は主に支付宝の所有権紛争である。前にアリババグループ会長兼CEOの馬雲は、中央銀行が协议控制モードを認めないと述べた。
支付宝の所有権の移転は、中央銀行と数回のコミュニケーションを行った上、支払いライセンスを取得するために出した決定だという。

先週、業界では、テンセントの「財付通」(TenPay)の支払いライセンスは中央銀行深セン支店に回収され、また、中央銀行はテンセントに調整して6ヶ月以内に协议控制を解除するように命じたという情報があった。
しかし、テンセント財付通はその情報を否定している。

VIE構造は政府が黙認する法律のグレーゾーンにある企業ストラクチャーである。
支払いライセンス問題がこの存在を暴露した。もしこのストラクチャーが適法ではないと認定されたら、中国のインターネット業界に重大なマイナスの影響をもたらすものと見られている。


ソフトバンクの孫氏はこの問題が早期に決着すると語っている。この問題をこじらせて大きくするとどうなるか。当事者もようやく気付き始めたのではないだろうか。
既にアリババだけの問題では無くなっている。もしこのやり方が否定されると、今後中国でネットベンチャー外資が投資することは殆ど不可能となる。京東の劉強東が怒っているのはそのためである。
そして、海外上場している中国ネット企業も、全て否定されることになる。

それは、中国政府も望まない事だと思うが。
恐らくは中国政府上層部も、アリババとそのカウンターパートとなる中央銀行担当者は余計な事をしてくれたと思っているのだろう。
政府の規制をうまく利用してお宝を掌中に掴んだつもりが、株価も下落で結局大損というオチ。