中国インターネット事情

ITを中心に中国の事 もろもろ

記号化した上海のマンションにとって、住人はオマケなような存在

限れらた人々の大人買い

上海でどんどん作られる日本で数千万から数億JPYする高額(高級ではない)マンション。しかし、給料がひと月三万JPYとか普通にある中国で、これを買える人はごくごく限られた人々だ。それでも売れまくっているのは、一人で沢山買う人々が居るためだ。

温州商人などがその良い例だ。製靴産業で儲けた資金を不動産につぎ込んでいるわけである。おかげで、マンションの中には内装もされていないような部屋がいくつもあったりする。複数買う人々にとっては住む事など考えておらず、中身などはどうでもよいわけである。

おかげで、建物そのものは誰も気にすることはない。マンションを借りている住人にとっては気になるところだが、部屋のオーナーにとっては株券とかと変わらないので、マンションの名前等の情報さえあればよいのだ。


自分は住まないので品質はどうでもよい

買う人間が建物に気を払わないのだから、その出来は推して知るべきで、記号化したマンションだからヴャーチャル的に質が良さそうに見えれば良い。たとえその構造や内装がメチャクチャだとしても、建物のオーナーそんなことはどうでも良い。単に価格が上がるから買っているだけなのだから。

そうして作られる大量のマンションは、客の厳しい目に曝されることもなく、物としての質の向上ではなく単に外見の派手さとか意味のない装飾であるとかに労力が費やされ、実際に暮す人間にとってはトンデモマンションが量産されていくわけである。

だから、見えないところは徹底的に手が抜かれているのがわかる。内装品も機能性より見栄で選択されているので、良く壊れる。明らかにコンクリートに水混ぜすぎだという、ひび割れがバリバリ入っていたりする。


最後に残されるゴミの山

こんな具合だから10年も経たないうちに恐ろしいほど劣化が進んでしまうわけだ。しかしそれでも、記号なので、その記号に価値ありとされれば高く売れたりもする。

このような状況、確実にバブルなんだと思うが、それこそ人民元切上げを狙ったホットマネーがどんどん入り込んで下支えしている中で、資金が生産性の向上ではなく、このようなガラクタ・マンションを大量に作る方向へ向かって、バブルがはじけたらゴミだけが残ったといった状況になりかねない。

まあ、マンションを建築する民工(田舎からやってくる出稼ぎ労働者。中国の格差問題の象徴)も安給料で自分が1000年くらい働かないと買えないマンションなんか作りたくないだろうから、ことごとく手抜きもするのだろうけど。バブル後の国からやってきた筆者としては、このバブルの崩壊を経済成長率が決められている自由主義計画経済でどう食い止めるのか、ちょっとひやひやしながら傍観している状態である。 


地方都市にもドンドン作られている

記号としてはマンションだが、実体はガラクというモノを作るにも石油や鉄やら、いろいろと使っているのだろうから、投機マネーは恐ろしい。

日本でもバブル時代、スキー場近くに大量の投機用マンションが作られた。そちらは日本の建物だからそれなりにしっかりと作られていたはずだが、今や維持費や固定資産税のほうが高いとして、誰も買わない状態に陥っているという。

上海あたりはそれなりの都会だから、壊れたらまた立て直せば良いのだろうけど、中国の地方都市でもすごい勢いでガラクタマンションが作られているのだから、末恐ろしい話ではある。