中国インターネット事情

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年商(年間売上)と利益が区別できてないのかも

今やアメリカを抜き、中国が日本最大の貿易相手だという話を良くテレビ等で聴く。
中国の役所が発表した数字ではなく、日本の役所が発表した数字だ。
それほどの違いはあるまい。確かに数字はその通りなのだろう。

テレビを見ていると、この奥様はちょっとしたアイディアで年商一億達成です!
そんな成功話を、TVのバラエティ番組で放映しているのをみた。
額を聞いてお笑いタレント達がおお! とリアクションをしてああ凄い! という、うんざりするような場面だ。
商品の年商(年間売上)が一億で、じゃあ一体どのくらい儲かっているのか。
そのアイディアを考えた発明奥様には、一体いくらの儲けがあったのか? まったくの謎である。
しかし、それでも番組はまるで一億儲けた(利益があった)が如く進んでゆくのである。

勤めている時は自分の給料や社会保障コスト、オフィス維持コスト、移動コスト等の事が頭からスッポリと抜け落ちてしまっていることが多い。
逆に独立したらまるで世界が変わったように、どうしてもコストばかりに目が行くようになってしまう。
給料の3倍、4倍の売上があって、初めて勤めていた時のレベルに達することができる。
そして、年商=売上は利益ではないと本当の意味で気付いてしまう。

そして、バラエティ番組と同じようなことが、実は日中間の経済交流に関する報道でも起こっているのかもしれないとふと思った。

実際のところ、投資がある場合、年商を上げるだけなら比較的簡単な話である。
京東商城などが進めているのは赤字覚悟の売上拡大戦略だ。
これは将来性があると投資家に認識されている市場だからこそ行える戦略である。

そして、かなりの数の日本企業もまた彼の地の「将来性」に価値を見出し、現状に目を瞑っているのかもしれない。
つまり、取引が増えれば利益はなくてもいい。将来があるからそれでいい。そんな会社も多いのではないだろうか。
駐在員の給料の手取りは高いか安いか? それは分からないが、総コストならば、少なくても一人2000万JPY程度は余裕でかかるのである。

そもそも、さまざまな規制が存在するため地元企業より外資にとっては難しい市場だし、更には今回のような政治的なリスク要因も大きい。
現地企業に比べて、重しを付けた状態での企業活動。
この状態で成功して投資を回収するには、それなりの強運も必要だ。

中国ビジネスの取引額がどんどん増える。日本にとって最大の取引額を持つ貿易相手になってくる。
だからと言って、日本側が儲かっているかと言えば、それは全くの別問題だろう。

逆に、中国企業が日本で活動している数よりも日本企業が中国で活動している数が多いのだから、中国にとっては儲けより額が重要なはずである。
額が大きければ大きいほど、人を雇ったりして現地にお金が落ちているはずだから。

日本では儲けを、中国では額を、報道した方が理にかなっているはずなのだが、
なぜか日本のマスコミの報道で多いのは、貿易額がアメリカを超えているという話ばかりで、どうも本質が見えない。

発明奥様のアイディアで年商1億達成でも、その(粗利)アイディア料はせいぜい200万円程度ではないのか。
あるいは本当は赤字かもしれない。

さて、本当に米国との商売より儲かっているのだろうか……? 謎である。