ベンチャーは残業代ゼロでいいという新経済連盟
一般社団法人新経済連盟 代表理事 三木谷 浩史 という所から公表されている文章には、以下のように書かれている。
その箇所は、
”3.ベンチャー企業の場合、多くの従業員が企画型の業務を行い、ストックオプションをもらっていることも多く将来的リターンも大きいことにも留意が必要です。”
http://blogos.com/article/109349/
つまり、リターンが大きいのだから労働時間制度を適用除外にしてほしいという理屈らしい。
ベンチャー企業だと何故、将来のリターン大きいと言えるのか?
そもそも、ベンチャー企業の定義って何? 中小企業でもベンチャーって名乗っているけど。
”ストックオプションをもらっていることも多く将来的リターンも大きい”という「新経済連盟」の文章からベンチャー企業の定義を逆算すると……
彼らが定義するベンチャー企業とは、「上場や高値での事業売却(Googleに売るとか)を目指していて、それが実現間近な企業」ということになる。
それ以外だと、ストックオプションはただの紙くず同然で、将来的に”大きな”リターンを確保できませんから、彼らが言うベンチャーの定義から外れるはずです。
そういう定義のベンチャーは、どのくらいあるのでしょうか?
VCが投資をしている企業でさえIPOできるのはせいぜい5%以下で、VCとは全く無縁の企業が大部分のはずです。
そう考えると、彼らが定義するベンチャー企業である確率は、ほとんど宝くじみたいなものでしょう。
まあ、そういう企業なら、寝る間を惜しんで働いても価値が有りそうです。
社長が「上場を目指す」と言っているだけとか、そういったレベルまでベンチャーの定義を広げて考えると、「将来的リターンも大きい」なんて絶対ありません。
確率的に、将来的リターンは思いきり公務員を下回るはずです。
但し、そういう所は収益性が低いので、法律どうこうなんか関係なしに「労働時間制度を適用除外」を勝手にやっているはずです。
そうしないと潰れますから。
そうなると、ベンチャー企業って、今でも実質「労働時間制度を適用除外」だし。何で今頃こんなこと言っているんだ? ということになります。
今回の提言の目的は何か?
リターン有ベンチャー企業(残業代ゼロ)とリターン無ベンチャー企業(残業代ゼロ)の間にある、中間のベンチャー企業(残業代払う必要あり)についても「労働時間制度を適用除外」を認めろというアピールなのでしょう。
中間のベンチャー企業とはIPO後のベンチャー企業で、
上場企業となって、大企業の仲間入りしたので、コンプライアンスがうるさくなって、昔みたいにムチャはできず成長性も落ちてきている。
ストックオプションも、すでに上場してしまっているので、あまり美味しくない。
でも、「労働時間制度を適用除外」をやりたい。
だから、ベンチャーという枠はまとめて、法律上OKにしてほしい。ということなのだと思います。
リターンを出せないなら、何を言ったところで説得力はないでしょうけど。