中国インターネット事情

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中国ECの決定的な差別化要因

結論としては、それは物流にある。

最近、上海でなかなか素晴らしいと言われているECサイトがある。
1号店というサイトがそれだ。

タオバオを追撃する京東も便利だが、1号店もかなり便利で、筆者も良く使っている。
この店の場合、夜の九時に注文したら速ければ次の日の朝には届く場合もあるから、物流スキームに相当力を入れているのだろう。

物流の梱包自体はやっつけ仕事感が否めず、アマゾンなどの洗練された梱包と比べるとかなり怪しいが、
それでも、注文を受けて細かい梱包をして配送するまでの時間が速いので、全体の洗練度から考えると相当な人海戦術=力技でやっているのに違いないのだ。

力技を使ってまで、これだけの物流体制を組むのは、ECの場合、集積度と価格と物流以外の差別化要因はあまりない。

集積度=EC業界のトップランナーであるタオバオのように、最も数多くの店が集積しており、取りあえずそこにあれば品揃えが良いという印象与えることができる属性。
価格=安さという属性。
物流=持ってくるのが速い。すぐ欲しい時に持ってくる・居る時に持ってくる・利便性という属性。

中国ではタオバオの集積度を覆すことは難しく、価格競争も難しい。
従って、物流にて特色を出してゆくことは非常に重要となってくる。

となれば、中国でそれなりのECサイトを構築しようとするならば、独自の物流スキームを構築することが必要となってくるのである。
それが良くわかっているので、タオバオに続くECサイトは物流スキームに莫大な投資を行っているのである。

1号店などは物流の洗練度よりもとにもかくにも、スループットを重視し、中国EC業界の物流競争に割り込みを掛けてきている。
ITのみシステムのみの発想では、既に中国ECを勝ち抜くことは難しい時代に突入しているのだ。

今後、1号店の梱包もより洗練度を上げてゆくことになると思うが、洗練度がなくてもとにかくヤルという発想が素晴らしい。

日本の企業が本格的にECを行うなら、細かいマーケティングのこともあるが、物流をどうするのかが最大の問題になると思われる。
WeiboなどのソーシャルメディアやCM宣伝などは華やかな部分だが、地味でも最も重要な物流を肝に銘じておく必要がある。