中国インターネット事情

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なぜ、中国で外資ネット企業は成功しないのか? 本社社長以上の運と実力が必要?

経済成長率が10%。ネット企業がどんどんIPOをしています。さてどうします?

ひとえに中国事業と言っても、ただそれだけで括ることはできない。
顧客が中国人か外人か? 物を作るか作らないか? 少なくても、4パターンあることに気付く。
そして、中国に於いては、外人より中国人相手の難度が高く、また物を作らない商売のほうが難度が高い。

つまり、中国でネット事業を行うということは、中国事業の中でも最難関ということになる。
理由は何となくわかるのではないだろうか?

例えば、単純に工場を作って日本に輸出する場合を考えてみよう。
工場などの生産設備は巨大な投資となるので、雇用などにも寄与するため政府は基本的に協力的だし、労働争議など様々な問題は有るにせよ最終的に営業というものが存在していない。
つまり、管理して物を生産し、日本に輸出をすれば中国側のミッションは終了である。
すでに出来上がっている流れがあり、中国側はその一部を担っているにすぎない。

一方、ネット企業の場合を考えてみれは、いくつもの困難が控えている事が容易に理解できるはずだ。
インターネットは何をやるにも政府の許可が必要。あらゆる手続きには時間がかかり外資には許可がでない免許がいくつも存在する。
そもそも、外資ネット企業には中国市場に入ってほしく無いと言うのが、まさに本音だろう。

さらに、営業の問題もある。どのようにしてサイトにアクセスさせるか? 自らを知らしめるためにこの時点で大きな投資が必要になるのは明らかである。
中国の人は日本のネット企業など誰も知らないのだ。しかし、工場に投資ができても、様々な理由からこの部分に巨額の投資ができる経営者は少ないのではないだろうか。

もちろん、他社が持っていないクールな発明? を持っていて、営業なしでも切り込めると考える場合もあるだろう。
しかし、そんなものはすぐに真似をされることうけあいだ。
twitterだろうが、FaceBookだろうが何でもござれ。中国の技術力をナメてはいけない。あっという間に同じものを作り上げるだろう。
それどころか、オリジナル会社以外がさらに発展したものを開発してしまう可能性もある。

そして、これは日本に関してだが、そもそも中国の人々は日本のネットサービスが進んでいるとは感じておらず、あくまで米国を見ているのである。
日本のネットサービスは、、日本のモノ作りや料理に比べて全く評価されていないのである。
確かに、日本から世界に広がったサービスの例をにわかには思いつかない。GoogletwitterYoutubeみな米国発だ。

経済成長率が10%。ネット企業がどんどんIPOをしているからといって、必ずしも容易な市場ではないことは明らかだ。

もちろん、そんな免許など見なかったことにして、やってしまうと言う方法や、サーバを海外に置いてしまうと言う方法もあるだろう。
しかし、どこの誰かが気まぐれで当局に言い付けるかもしれないし、いつ切断されるかわからない。極めて不安定で脆弱なビジネスに陥ってしまうのである。
どうするのかは経営の判断で、何れにせよ骨が折れる仕事になるのだ。

最初から政府が協力的でなく不安定なものに、巨額の投資やグレー手法の判断を迫られる中国ネット企業経営者。
従来の管理者的駐在員とは全く別のタイプの、企業家的人材を配置する必要があるのではないだろうか?

それでも成功できるか、全く不明である。それは、つまり本社創業より難しいことだからである。
ということは、駐在員どころでなく、本社の創業社長より優秀で「運」がいい奴持ってこい! って話になるのだ。

これは難しい。せめて、野心的な者を配置するしかないだろう。そいつがブラックスワンなら大化けするかも。