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中国電子ブック市場にKindle進出準備も、各種規制に抵触

12月13日、アマゾン中国公式サイトはKindleストア(Beta)を公開し、無料でマルチプラットフォームKindle閲読ソフト、及び2万冊のKindle電子書籍を提供し始めた。
業界では、これはKindleが中国に参入するための準備だと考えられている。

しかし、アマゾン中国公式サイトでは、「Kindleストアは北京中文在线数字出版股份有限公司が運用サポートを提供している。
「新出网证(京)字045号」と書いてある。
つまり、中国でのコンテンツライセンス問題の対応策として、アマゾンKindleストアはラインセンスを借りて運営するモデルを採用している。

しかし、このことはすぐに中国国家新聞出版総署の注意を引いた。
メディアの報道によると、国家新聞出版総署側はすでにアマゾンKindleストアがラインセンスを借りて運営することについて調査し始めた。
ラインセンスを借りて運営することは規定に違反していると新聞出版総署科技デジタル出版司のデジタル出版処処長王強が明確に表明した。

国家新聞出版総署は「出版管理条例」、「電子出版物出版管理規定」、「互聯網出版管理暫定規定」、「出版物市場管理規定」などの法規に従い、電子書籍関連事業に従事する企業に対して分類審査・許可と管理をを行っている。
企業が電子出版物を運営するには、関連する資格を取得しなければならない。

王強によると、アマゾンはKindleストアの運営ライセンスを申請しているが、まだ承認を得ていない。
ラインセンスを借りて運営するという規定に違反する行為に対して、新聞出版総署は13日午後から研究し始めた。
またアマゾン、「中文在线」を含む関係者に質問調査を行った。しかし、調査結果はまだ公表されていない。


規制が多い中国で、外資企業が電子ブックのプラットフォームを運営するのは、なかなか骨が折れそうな話である。
今回アマゾンはそれをショートカットするために、ライセンスを借りる手法を採用した。
インターネットや出版系の規制が多い分野ではライセンスを借りて商売をするという手法は一般的ではあるが、今回の電子ブックプラットフォームに関しては政府担当者がこれを明確に違反行為だと表明している。

したがって電子ブックプラットフォーム事業をやりたいなら、ライセンスを取得するしかないわけであるが、外資には取得が難しい上に、VIEを使ったとしても長い時間が必要だ。
電子ブックプラットフォームは完成したが、ライセンスが無くて営業できず、制作したシステムが陳腐化したという事態を招かないためにも、事前の調査が重要だろう。

ネット技術や普及は物凄いスピードなのに、結局のところ外資企業は遠回りする必要があり、最終的には圧倒的な差をつけられて追いつけない。
中国のネット企業が、特に技術が優れているとか、クリエイティブであるとか、経営が優れているとか、そんなことはあまり無いわけです。
ただの規制産業で日本でいうところの、原子力村とかテレビ局と変わりません。