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アリババから始める中国ネット企業不信 株価下落 原因は特殊な事業ストラクチャーか?

5月頃に大挙して上場した中国ネット企業が、みな株価を下落させているという。一体何故だろうか。筆者はその特殊な事業ストラクチャーに原因があると考えている。アリババに端を発しこのストラクチャーの信頼性が現在揺らいでいるのだ。内資企業としてサードパーティ製の支払いライセンス(第三者決済許可証)を取得するために、アリババグループは過去2年間に子会社の「支付宝」(アリペイ)の株式の所有権を移転した。この事件はアリババグループの主要株主ヤフーやソフトバンクの不満引き起こした。そのため、アリババは最近「契約精神違反」の非難に陥っている。アリペイは無事に支払いライセンスを取得したが、アリババグループとヤフー、ソフトバンクの間の紛争はますます激化している。一部のアナリストの考えでは、馬雲は理事会の承認を得ることなしに、勝手にアリペイの所有権を移転したことは契約原則に反している。その行為は不正な操作であり、そしてある程度アリババグループの主要株主ヤフーとソフトバンクの正当な利益を害しているという。最近、影響力のあるメディア「财新传媒」の編集長胡舒立は「週刊新世紀」の中で「马云为什么错了」(馬雲はなぜ間違っていた)という文章を発表した。この文章は業界で広く議論を起こして、業界がアリペイ事件に対する疑問視する声が一段と高まっている。また、アリババによるアリペイの所有権移転がもたらした中国企業の信用問題も米国で上場した企業が衝撃を受けている重要な原因と見なされている。外部の疑問視する声に対して、6月14日、アリババグループ取締役会会長馬雲はアリペイの株式譲渡について、メディアとコミュニケーションを行った。記者会見では、アリババによると、ヤフー、孫正義が代表するソフトバンク、アリババを含むアリババグループの取締役会がアリペイの所有権についての交渉は既に3年以上続いている。馬雲によれば、ヤフーとソフトバンク側はアリペイが中国国内の法的規制を回避することができると考えている。しかし、それは不可能であり、アリペイは6.6億人のユーザーに対して責任を負わなければならないと馬雲が考えている。また、取締役として、孫正義の態度は無責任であると馬雲が述べているがそれは詭弁であろう。アリペイの株式譲渡については、2009年の取締役会で話し合われたと馬雲が表明した。現在アリペイの問題は商業利益の交渉問題であり契約精神には関係ないと彼は強調している。当時アリペイの移転は唯一の正しい決定であり、完璧ではないが、やらなければならないことだったという。株式補償については、理事会の楊致遠、孫正義などの株主との交渉はまだ続いていると馬雲が述べた。理事会の楊致遠、孫正義などの株主との最大の見解の相違は「协议控制」を堅持するかどうかの点であると馬雲が表明している。楊致遠、孫正義は「协议控制」の方法でできると考えているが、それは中国の中央銀行の要求である100%内資コントロールに適わないという。「协议控制」は中国向けの特殊な事業ストラクチャーである。このストラクチャーなくして上場は不可能であり、逆にこれが崩れるならその上場している会社の株主は全く安心出来ないと言う話になる。ネット業界には、このやり方が多いわけであるが。この記事の詳細は、このブログとは別の場所で書くかも。