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上場申請前日に不正が露見「北京网秦天下科技有限公司」公開当日から大暴落

人人網の上場に続いて、5月5日、「北京網秦天下科技有限公司」は米国ニューヨーク証券取引所で上場(NetQin網泰 ティッカー:NQ)し、中国国内最初の海外上場のモバイルインターネットセキュリティ企業となった。
しかし、寄り付きから僅か2分で公募価格を下回った。公開当日は19.13%下落した。9日の時点では8.25ドルで27%も下落している。

网秦の発表した公募価格11.5ドルで計算すれば、网秦の時価総額が5.19億ドルで、奇虎360の1/6である。
775万株の米国預託株式(ADS)を発行し、8900万ドルの資金調達の募集をした。IPOで募集した資金は主に技術研究開発、マーケティングなどの方面に用いられ、また買収に使用される可能性があると网秦が表明している。

網秦は2011年3月16日に米国証券取引委員会(SEC)に上場申請を提出しており、当時は1億ドルを募集する計画をしていた。
しかし、その前日、CCTVの番組「3・15晩会」で、網秦とその投資した会社「北京飞流九天科技有限公司」が消費者を騙して不正な収益を図る行為が劇的に暴露されている。
このIPOに絡んでバラ色の未来を予見していた創業者はもちろん、ひと儲けたくらんでいた投資銀行やVCなんかはCCTVにケチ付けるわけも行かず、天国から地獄に突き落とされた感触を味わったのではないだろうか。

■網秦という会社について
2010年12月31日までで累計登録ユーザー数が7169万人だったされている。
2009年は2563万人で、2008年は1518万人だった。
2010年12月31日までの3ヶ月で、网秦の月間平均アクティブユーザー数が2544万人で毎月の料金を支払うユーザー数が324万人だったとされている。


CCTVが暴いた不正行為については以前紹介をしたが、その問題の会社がNY市場に上場を果たした。そして当然の如く公募価格割れとなった。
ウイルスをばら撒くウイルスセキュリティソフト会社というマッチポンプなブラックユーモアを現実の物とした会社が、平然とNY市場に上場できるというこの現実。
いくら中国の市場が有望だからって、なんでもあり過ぎだろ。

ちなみに、この会社の弁解としては競争相手(中国人はすぐにあそこだと思う)の謀略だとしている。中国の場合本当にライバル会社の謀略があるので何とも言えないが。