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山寨メーカ製のアンドロイド携帯が、遅れている中国農村のインターネットを発展させる日

2010年4月15日、中国インターネット情報センター(CNNIC)は北京で《2009年中国農村インターネットの発展状況の調査報告書》(以下は《報告書》と略称する)を発表した。《報告書》によると、2009年12月末までで中国農村部のインターネット利用者の規模はすでに10681万人に達したという。インターネット利用者の規模は増加を維持しているが、しかし、普及率、インターネット利用者の構造、ネット応用の、この3点から見ると、都市と農村間のインターネットの格差が拡大し続けているという。

 

中国農村のインターネット利用者規模は初めて1億人を超えて、携帯電話でのインターネット利用者は1年で3000万人以上を増えた

CNNIC《報告書》によると、2009年末まで、中国農村部のインターネット利用者の規模は10681万人に達して、昨年だけで年間2220万人を増えた。年間成長率は26.3%だという。その中でも携帯電話でのインターネット利用者は約7189万人で、2008年と比較して3000万人以上増えた。その年間成長率は79.3%で、農村インターネット利用者全体の増加数よりずっと高い。

また、農村部のインターネット利用者がPCを使う比率としては68%まで降った。モバイルインターネット利用の割合が約20%増えて、使用率は67.3%に達した。それに対して、2.77億人の都市インターネット利用者は、携帯電話のネット利用者が1.6億人で使用率は57.5%と10%近く低い。。

明らかに、携帯電話は農村インターネット利用者の主流のインターネットを利用する端末になっていて、同時に農村インターネットの発展の主力となっている。

 

しかし、農村のインターネットの普及率は15%のみで、都市と農村のインターネットの格差が拡大し続けている

都市部と農村部インターネットの普及率から見ると、インターネットが都市での普及率は44.6%で、農村では15%だけに過ぎない。CNNIC《報告書》の2007年以来の中国都市と農村インターネットの普及率をみると、2007年、都市と農村インターネットの普及率の開きは20.2%だけだったが、2008年は23.5%に拡大して、2009年には29.6%になった。農村のインターネットの発展速度は都市より遅いので、インターネットの都市と農村での開きは大きくなっている。都市と農村の"デジタルデバイド"が拡大していることがわかる。

CNNIC《報告書》の分析からみると、農村インターネットの成長速度が遅い原因は3つあるという。1、“農村のインターネットの基礎知識はないので、インターネットに対する認知はばらつきがある。2、“農村のインターネット関連インフラが薄弱で、公共のインターネットを利用する資源が欠乏している。”3、“農村でインターネットを利用するコストが農民の収入に比べて高すぎる。”これが、農村のネットの発展を阻害している主な原因だという。

 

農村インターネットの主な利用者は、主に若者、低学歴グループ、学生

CNNIC《報告書》によると、インターネット利用者全体の年齢層に比べて、農村のインターネット利用者は若年層が多い傾向が見て取れるという。農村のインターネット利用者は、30歳以下の年齢層は69.2%を占めていて、その中でも19歳以下の若いインターネット利用者の割合は41.1%です。それに対して、全国のインターネット利用者の場合は30歳以下の若い年齢層は61.5%を占めるに過ぎない。
 
さらに、都市と農村のインターネット利用者の間に学歴分布の相違は明らかで、農村のインターネット利用者の平均教育レベルが比較的低いことがわかる。農村のインターネット利用者の中で、初等教育とそれ以下の学歴のは52.1%を占めて、都市の29.2%よりずっと高い状態となっている。その中、初級中学の教育レベルのインターネット利用者の割合は39.5%で、都市より17.6%高い。2008年と比べて、農村は初級中学レベルのインターネット利用者の割合が2.7%増加した。インターネットは中国農村地区で低い学歴の人々に浸透している。

それ以外に、農村インターネット利用者の中で、学生の割合は32.3%で、都市学生のインターネット利用者の割合より4.9%高いです。全体的に、“若い、低学歴、学生グループ”は農村インターネット利用者の主要な特徴です。今後は、こうした農村インターネット利用者の構造を最適化する必要があると考えられる。

 

農村インターネット利用者のビジネスへの活用は都市よりはるかに立ち遅れるが、娯楽としては都市と大差はない

CNNIC《報告書》の中で、都市と農村インターネット利用者の利用法について対比が行われた:ビジネス取引と通信交流などのネットワーク利用ついて、都市のインターネット利用者の使用率は農村より遥かに高く、都市と農村の間にギャップは明らかになっている。特に、オンラインショッピング、オンライン決済この2つの典型的なビジネスアプリケーションの場合、都市の使用率はそれぞれ31.7%、27.7%で、農村の使用率は17.6%、15.1%だけと明白な差が存在する。

ネット娯楽の場合は、農村と都市とで、さほど差異がない。オンライン音楽とオンラインゲームという使用率が最も多いネット娯楽の場合、都市の使用率はそれぞれ83.8%、68.6%で、農村の使用率は82.7%、69.9%です。オンラインゲームの場合は、農村は都市よりも1.3パーセント高い。

 

やはり携帯電話

そもそも中国の場合、銅線による電話網が農村にはあまり普及しておらず、ADSL光回線などと云った物理的なインフラがどんどん農村に普及するかといえば疑問であろう。農村すべてに銅線を引いたら世界中から銅が無くなってしまうなどいう笑い話も有るくらいだ。

やはり、携帯電話こそが中国農村のネット普及のカギとなるのは明らかだ。米国では低所得者グループにiPhoneが人気があるという。つまり、それは電話であり、カメラであり、PCであり、複数の物品を買わずに済むといったところからきているようだ。

中国の農村でiPhoneは普及しないだろうが、オープンソースのアンドロイド携帯ならば可能性はある。実際、ophoneという中国独自仕様のアンドロイドが開発されていたりするので、低価格で作れる山寨メーカが農村のネット普及とともに大量の格安アンドロイド携帯を作り出すかもしれない。

中国にはsimロックはないので、ネットが出来るような有名メーカの携帯は結構な価格だが、山寨メーカ品なら安いものも多い。

このように、中国農村でのインターネット普及を山寨メーカのアンドロイド機がけん引していく日が、近いうちに訪れるかもしれない。