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ネット上の果汁搾りで実体も売れる? 中国ネット広告の年間成長率は32%-35%に達した

テレビと新聞を越えて、中国では去年インターネット広告の成長率が首位になったという。その中でもインターネットビデオ広告は最も注目されているという。

2010年04月14日、中国のマスコミ大学の広告主(スポンサー)研究所の所長杜国清は中国国際マーケティングコミュニケーション大会(Marcom Beijing 2010)の記者会見で研究報告書を公表した。この研究報告書から読み取れるひとつの典型的な変化は、伝統的なメディア形式より企業が新しいメディアを選択する傾向がますます顕著になっていることである。

これは企業の戦略的な選択だと杜国清は言う。ずっとスポンサー(会社)の研究を行った彼女のビューでは、新しいメディアで広告をしたり高品質の新聞やテレビを選んだり、今、国内企業が広告に対する行為はますます熟している。

中国広告主(スポンサー)協会の会長段瑞春が大会で発表した1組のデータからみると、インターネットは2009年5000万の広告市場で5%〜10%のみであったが、成長率は、32%-35%に達しすでに伝統のテレビと新聞の2強を越えた。インターネット広告は中国市場では、広告成長率の第1位のメディア形式になっている。

2009年、中国は世界第2位の広告市場になった。市場の平均成長率は約10%で、2015年に広告の総額は540億ドルに達すると予測されている。

杜国清は、2009年業界の典型的な広告実例として、“中糧悦活”という会社と“开心網”とのコレバレーション(SNS“开心網”の農場で果物を植えて果汁を搾ってなどの活動を通じて、マーケティングを行う)を上げた。“开心網”の仮想世界では、半月で40万人のインターネットユーザーが果物を植えることに参加して、総計で7000万~8000万の人々が果汁を搾る活動に参加した。そして、現実の世界で、“中糧悦活”1ヶ月の売上高は30%上がったという。

CNNICが近日発表した《2009年中国インターネット利用者のインターネットビデオ使用の研究報告》によると、2009年末まで中国インターネットビデオのユーザー規模は2.4億人に達した。その中、約4000万人のユーザーはインターネットの上でビデオを見るだけでテレビを視聴せず、インターネット動画が囲い込んだユーザーとなった。中国のオンラインビデオ広告市場は今後3〜4年で10億〜15億ドルの規模にまで成長する見込みがあると予想されている。


SNS“开心網”については、何度もこのコラムで取り上げているが、筆者もこの果汁搾りをやったクチである。かといって、実際“中糧悦活”を買ったかといえば、また別だが。日本ではゲームと実体商品を絡めたマーケティングはたくさんあって、古くは任天堂永谷園がこういったことを行っている。

テレビ等の従来メディアが堅苦しいイメージがある中国の人々にとって、インターネットは比較的自由で肩の張らないメディアなのかもしれない。確かに湖南テレビのように肩の張らないバラエティで伸びているTV局もあるが、インターネット利便性や自由度にくらべれるといまひとつかもしれない。