中国インターネット事情

ITを中心に中国の事 もろもろ

支付宝(チーフパオ)、50億元を投資。グローバル化を推し進めECの覇権を握るか?

4月12日、アリババグループは今後5年間、支付宝(チーフパオ)に50億元を投資すると発表した。中国、更に全世界の電子商取引のために、安全で便利な信用出来るプラットフォームを構築して1流の決済システムを創立するという。

外国銀行等の決済システムへの接続を考慮に入れているのではないかと見られ、将来は銀行免許をとって銀行業務にも進出すると思われる。

アリババは、日本、オーストラリア、香港、台湾など300以上のB2C会社と合弁事業を行っている。故に中国国内の消費者に対して海外の商品を買うための仕組みを提供することができる。実際、グループ会社タオバオとYahooJapanとの提携は以前お伝えした通りである。

現在中国は金融改革を推進しており、中国がECの覇権を握るために全世界の決済を受け持つ決済システムの構築は必須であり、支付宝がグローバル化当然であると考えられる。今後ペイパルやGoogleのサービスと共に世界的なサービスとなってゆくものと思われる。

逆に、ペイパルは銀連(ユニオンペイ:中国の全銀行キャッシュカードシステム)のシステムを導入、中国での決済事業に進出しようとしている。しかしながら、中国では圧倒的に支付宝が浸透しており、中国国内での優位性は崩れないと思われる。

現在の中国国内の決済システムはあまり良い状態ではないが、支付宝が海外に進出して海外の手法を学ぶことによって中国国内のシステムも改善されるのではないだろうか。

支付宝はこの50億の投資を、これらの事業を推進するための人材、技術開発等に利用すると思われる。


チーフパオを利用する理由は、やはり中国市場であるから、世界進出をしたチーフパオは中国との輸出入を促進する一つのプラットホームになる可能性はあるが、ボトルネックは実体部分である物流であろう。

どんなに決済スピードが高速化されても、結局スピードやサービスの品質はこの部分に落とし込まれる。ヤマト宅急便も中国に進出しているが、中国人はほとんど知らない。むしろ、サービスはそれほど良くないが現地系のほうが配送地域が広いので使い勝手はよい。ただし、この日中間のEC取引の部分にヤマト便が入りこめるとしたら、チャンスはあるのではないだろうか?

日本ではいくつかECサイト倉庫業務を代行する倉庫業者があるが、ヤマトはこれを上海でやって、通関なども行えるようにする。少なくとも20ftコンテナで商品を運ぶとなれば倉庫は必要になってくるであろう。

もちろん、物流を伴わないソフトの部分なら可能性はあるが、”無料”が一般的な中国で売れるとは思われないし、海外のソフトが無料であるがために中国国内に海外に通用するようなソフトが育っていないため、国内でも国外でもituneのような商売は難しいだろう。